やっぱり僕は「憩い旅」が好きだった

投稿者: | 2016年9月27日

最近、聖地巡礼の様子を記事に書いていて、気づいたことがある。

僕は意外と、旅が好きだ。

「意外と」と自己評価したのは、今まで自分では気づかなかったから。
自分は超内向的で、週末も家にこもりがちな人間だと思っていた。
友人知人からは「オザキって意外とアクティブだよなあ…」と言われて、「はあ、そうかなあ。」と答えていた。

でも、やっぱり僕は、旅が好きだった。

ただ、旅をする動機がない、と思っていただけ。
知らぬ間に「きっかけ」を聖地巡礼に求めていたらしい。

振り返ってみると。
『秒速5センチメートル』に憧れて、種子島までロケットの打ち上げを見に行った。

▲「秒速5センチメートル」に感化されても、ロケットの打ち上げはなかなか見られない。ラッキーだった。

▲「秒速5センチメートル」に感化されても、ロケットの打ち上げはなかなか見られない。ラッキーだった。


岩舟には大雪の中、誰もいない駅舎を見るだけに行った。
▲「秒速5センチメートル」の舞台の一つ、岩舟。大雪で帰れない、まさかの聖地巡礼。

▲「秒速5センチメートル」の舞台の一つ、岩舟。大雪で帰れない、まさかの聖地巡礼。


『ここさけ』に心を打たれて、秩父の山をえっちらおっちら歩いた。
▲秩父は「あの花」「ここさけ」が有名。

▲秩父は「あの花」「ここさけ」が有名。


ロンドンでの語学留学(ド短期)の余暇には、ひとりで映画『けいおん!』の聖地巡礼に回った。
▲映画「けいおん!」はロンドンが舞台。現地でもちゃんと認知されていたことに驚き。

▲映画「けいおん!」はロンドンが舞台。現地でもちゃんと認知されていたことに驚き。

しかし、聖地にたどり着いた瞬間が嬉しいだけではなく、
その道中の鈍行電車では必ず胸が高鳴るし、
予定になかったハプニングにもちょっと嬉しくなるし、
「聖地巡礼マップ」にはない場所を見つけては、自分だけの発見のように喜んだ。

やっぱり僕は、旅そのものが好きなのだ。

ここでひとつ、思い返されることがある。

あれは大学3年の夏、就職活動前哨戦に励んでいた僕が、
DMTC(Death-March Tech Camp)というイベントに参加した時のことだ。
このイベント、2泊3日の72時間で、ひとつのWebサービスをリリースするというぶっ飛んだハッカソンだった。

その時、僕のチームで作ったのは、「憩い旅」というWebサービス。
当時に流行り始めだった「キュレーション」をテーマに、個人の好みに合わせた国内観光を提案するものだった。

▲憩い旅

▲憩い旅

キャッチコピーは「美しいこの国で暮らすあなたに」。
今考えると、このキャッチコピーも何を言ってるかわけがわからないけれど、
要は「ガイドブックに載ってないような絶景をおすすめするよ!」ってこと。

このアイデアを初めて聞いた時、僕は強く反対した。
「旅なんか面白くない!きれいな景色の写真なんぞ並べてどうする!」と。
僕以外の3人が旅行好きだったので、多数決に押し切られる形で開発に移ったけれど、
当時の僕は、ただただ不服だった。
なんでこんな、「絶景」の写真を並べただけのサイトが面白いのか。

でも、今になってわかる。
僕はやっぱり、「憩い旅」が好きだったのだ。

お金と時間さえあれば、というありきたりな前置きがついてしまうけれど、
一年中、ガイドブックに載っていない絶景を探して、歩いてみたい。
極端かもしれないが、道端に咲いている花に、感動するような瞬間がもっと訪れればいいと思っている。

それくらい僕は、旅が好きだったのだ。

とはいえ僕は、東京で働く会社員の身。
「仕事辞めます」「旅に出ます」と言うのは簡単だけれど、先立つものがない。そんな旅は逃げだ。

さて、どうしたものか。

「憩い旅」を今もう一度やってみたいけれど、さすがに時間が経ちすぎた。