Pepper演劇「Ph/7.4」のちょっとだけテクニカルなところ

投稿者: | 2017年1月9日

かねてよりお伝えしていた、Pepperが登場する演劇「Ph/7.4」
先日、無事終演しました!

関連記事1: 我が家のPepperが演劇祭に出演します!
関連記事2: Pepperが挑戦する演劇「Ph/7.4」告知動画をアップしました。

今回は、Pepper演劇のテクニカルな側面を、少し振り返ってみたいと思います。

◆再生ボタンを用意して、ひとつずつ発話させていった
20分の短編演劇の中で、Pepperにはおよそ70個のセリフがあったのですが、
今回はあらかじめセリフ一覧を用意しておき、再生ボタンを押すことでセリフを発話できるように用意をしました。

▲Pepperのセリフ一覧。再生ボタンを押すと動いてしゃべります。

Pepperには人間の言葉を聞き取って、内容に応じた返答をしてくれる機能がありますが、
聞き取り精度に難があり、スムーズな会話が実現できないことも多いのです。

演劇はテンポが命ですから、Pepperに聞き取らせて会話することはやめて、
手動で発話のタイミングを操作していました。

◆身振り手振りはライブラリを活用しながら、ひとつずつつけていった
Pepperはなるべく棒立ちにならないよう、モーションのライブラリを活用しながら、
セリフに合わせて、ひとつずつ動きや目線を設定していきました。
通称・よしもとライブラリ、本当に役立ちました!
参考: モーション作成を効率化するボックスライブラリを公開 | Pepper アトリエ秋葉原 with SoftBank

ちなみに、Pepperの開発者向けツール・Choregrapheには、
Pepperがしゃべりながら自動で動きをつけてくれる「Animated Say」というボックスが用意されていますが、
動きが不自然だったり、余計な動きがついたりするので、あまり使っていません。

障害物センサーはできる限り無効化(ただし自己責任で)
Pepperには様々なセンサーが搭載され、障害物との衝突を避けるように設計されていますが、
舞台上には役者がいたり、小道具があったりするため、Pepperがそれらを障害物とみなしてしまい、
Pepperの移動の妨げになってしまう場面が多かったです。

そのため、障害物検知はできる限り無効化して進めました。
以下の記事を参考にさせていただきました。
参考: Pepper 狭いところを通れるように – アンオフィシャル – Aldebaran Robotics NAO とそのほかロボットについて

また、Pepperの身振り手振りをきれいに見せるために、接触防止機能も無効化して進めました。
先述の開発者向けツール・Choregrapheには、
「Set External Anti-Collision」
(Pepperの腕が他のものと接触することを避けるかどうか)
「Set Self Anti-Collision」
(Pepperの腕がPepper自身に接触することを避けるかどうか)
を設定できるように、ボックスが用意されています。興味のある方は一度使ってみてください。
ただし利用の際は充分ご注意いただき、自己責任でお願いします。

▲Anti-Collisionを無効化することで、腕の動きがスムーズになります。

いかがでしょうか。Pepper演劇の少しだけテクニカルな側面をご紹介しました。
いざ振り返ってみると「思ったより全然テクニカルじゃねーじゃん!」って感じもしますが!
公演を終えての総括や、皆様の感想を受けての思いは、次回の記事に譲ることにします。