デザイン思考を3時間で体験したら、私のアタマはどうなった?

投稿者: | 2017年4月25日

「ううむ、ぐぬぬ…」と参加者全員が悩み、唸りながらも、なかなかアウトプットできない企画会議。
新しいアイデアを出さなければいけないのに、時間を浪費するばかり…
そんな悩める人(=私)のための、会議改善ワークショップに参加してきました。

ぼく・わたしの考える外国人観光客お助けサービス~デザイン思考を体験するアイディアソン・外伝~
https://c1d9453ee6916d7a5f8316e3cd.doorkeeper.jp/events/59256

◆自己紹介も普通にはやらない!
5人ほどで1つのテーブル(チーム)を形成し、ワークを進めていく今回のイベント。
主催者の「メガネ」さんから趣旨説明があった後、さっそくチームごとの自己紹介に入り…
と思いきや、いきなり手元のスケッチブックに「絵を描いてください」!?

お題は、<旅行でいちばん「救われた!」と思ったこと>。
あっという間に1分間のスケッチタイムが終わり、描いた絵を説明しながら、チームで自己紹介。
しかも名前じゃなくてニックネームです。ネコさんとかユバさんとか、なんだか不思議。

自己紹介が終わると、「付箋に、隣の人の似顔絵を描いてください」。また絵ですか!?
早くも慣れない体験に、戸惑う自分とチームメイトがいました。

◆旅行でいちばん困ったことは?
似顔絵大会が終わると、さらに新しいお題が。
今度は、<旅行でいちばん「困った!」と思ったこと>を、付箋に書きます。

さて、チームメイトと見せ合います。
「海外のバスで寝過ごして迷子になってしまった」
「誰もいない山道で車が動かなくなった」
「海外旅行で、パスポートを置き忘れたまま、飛行機に乗ってしまった」
思った以上に、失敗体験が豊富なみなさん。

数ある失敗体験の中から、「最も解決してあげたい悩み」を選びます。
今回はネコさんの「忘れ物を取りに戻ったら、飛行機に乗り損ねた」を題材にして、みんなで解決策を考えることに。
今回は新製品を考えるにあたって「インタビュー」を行いませんでしたが、この体験談がその代わりになるんですね。

◆そんな失敗をしやすいのは「さくらももこ」さん!?
今度は「忘れ物を取りに戻ったら、飛行機に乗り損ねた」という失敗をしやすい人物像を考えます。

職業はライター、北海道在住、末っ子の女性、30歳くらい?
名前は?…えっ、さくらももこさん!?

こうして「さくらももこ」さんが、架空のチームメイトとして加わったのでした。
お断りしておきますが、実在の人物(漫画家さん)とはまったく無関係ですよ!

次に、さくらさんがよく考えていることや、よく聴く音楽、よく行く場所、よく行うことなどを、
チームメンバーそれぞれが付箋に書き出し、架空の存在にさらに肉付けをしていきます。
とてもおおらかな、だけどおっちょこちょいな女性像が見えてきました。

◆で、何に悩んでいたんだっけ?
人物像が定まったところで、「悩み」を思い出して、以下の文章の形に直します。
こうすることで、チームメンバー間で「悩み」の解釈を一致させます。

「○○さんは、~~がしたかった。」
「なぜなら、▲▲だからだ。」
あるいは「でも、××してしまった。」

私のチームでは、「さくらさんは時間通りに飛行機に乗りたかった。でも忘れ物をしてしまったので乗り遅れてしまった。」のようになりました。
ここで「飛行機に乗り遅れた」「忘れ物をしてしまった」という2つの悩みがあることに気づき、
今回は「忘れ物をしてしまった」という悩みにフォーカスを当てることに。

◆悩みを解決する方法を、とにかく書く!書く!書く!
悩みが単純化され、共通認識を持てたところで、その解決法を考えます。
ここから付箋が大活躍!考えられる解決法を、メンバーそれぞれが付箋に書いていきます。

しかも、1分間でアイデア3個。
書いた付箋は隣の席に回し、4分間で12個のアイデアをひねり出さなければいけません。
ここが一番シビアな時間かもしれません。

しかしこれが終わると、12個×チームメンバー5人分=60個に近いアイデアが書かれた付箋が、
机上に現れてくれるのでした。これだけで、ものすごい達成感です。
「ブレインストーミング」ならぬ「ブレインライティング」、恐るべしです。

◆さあ、分類しよう!投票しよう!
とはいえ、約60枚の付箋にすべて違うことが書いてあるわけではなく、似たようなアイデアもたくさんありました。
そこで似たようなアイデアをまとめて「島」を作る、分類作業に入ります。

「忘れ物キープ」と「忘れ物預かり所」は同じ意味だから、同じ島。
「忘れ物の現在地を知る」「忘れ物したら諦める」なんてものも島になりました。

そして、ある「島」の傾向を表す、最も代表的な付箋(代表選手)を見つけたら、
その代表選手に書いてある解決策が、「効果が高い」のか、「実行が容易」なのか、「新規性がある」のかを、挙手による多数決ではなく、シールを使った投票で見ていきます。

そして、今回は一番得票数の多かった「忘れ物をしないように、荷物を手放さない」という解決策を、
新製品のアイデアの軸にすることに決めました。

◆「新しい軸を考える」
今回は時間の都合で割愛されたのですが、「効果の高低」「実行の難易」でアイデア(付箋)をプロットしない方法も紹介されました。
「この解決策は、楽しいか、辛いか」「集団で行うことか、個人で行うことか」のように、
まったく新しい軸を考えて付箋をプロットした時、付箋の位置が偏って少数になったところこそ、
新しいアイデアが眠っている可能性のあるところだとか。面白いですね。

◆雑誌に載るぞ!
新製品のアイデアの軸が決まり、ここからは話し合いと試作(プロトタイピング)の時間です。
「荷物を手放さない」ために、どんなものを作ればいいのか?を話し合った後、
その製品の見た目やキャッチコピーを決めるのですが、ここで使われる「マガジンモック」という手法が面白い。

「雑誌に掲載されるとしたらこんな感じ」と仮定し、紙面のデザインをしていくのです。
もちろん雑誌名(東洋経済とかゼクシィとか)や、20XX年のX月号というところまで、
その試作を見た人が想像しやすく、説得力を持つように、ある程度細かく決めていきます。

この「マガジンモック」が最後のアウトプットでしたが、ここで時間が足りず、
作り込まれた形にできなかったのが、ちょっと残念。

◆プレゼンタイム!
これですべてのワークが終了し、全3チームのプレゼンタイムでした。
どういった悩み(解決すべき課題)があったのか説明した後、マガジンモックを使って製品の説明をしていきます。

私のチームでは、荷物を手放さないために、荷物と手に結ぶ「リード」を提案。
離そうとすると人の声で「離さないで!」と注意を促してくれる機能がついたものになりました。
他のチームでは、海外で困ったときに近所から助けを呼べるシステムや、
海外でトラブルに巻き込まれたときに自分の信頼性を表せるシステムの提案がありました。

◆感想:アタマがはちきれそうになるが、ちゃんとアウトプットできる!
感想としては、なにより疲れました!頭を回転させまくった気がします。
1分間に3つのアイデア、4分間で12個のアイデアは、ブレインライティング(筆記によるもの)だからこそ出せたのではないでしょうか。
従来の、発言によるブレインストーミングでは、ここまで強制的に、かつスピーディーに、頭を働かせることもない気がします。

そして、投票方法も「なんとなくこれがいい」と挙手で多数決をするのではなく、
シールを使って個人の意見を可視化できているという点も、新しい発見でした。

また、今回割愛した「新しい軸を考える」ですが、実は一番イノベーティブな部分では!?
今度機会を作って実践してみたいところです。

いずれにしても、「デザイン思考」を使った会議は、つい「場の空気」に左右されがちな会議を
合理的ながらエキサイティングなものに変えてくれる上、きちんと個人の意見を反映できるという点で、ぜひ実践してみたい、回数を重ねてみたいと感じました!

チームメイトの方々、進行のメガネさんをはじめとするスタッフの皆様、ありがとうございました!
まだ体験したことがない方は「アイディアソン向上委員会」で検索して、ぜひ行ってみてください。
これ、読んで満足するだけじゃもったいないですよ!